こんにちは、UI/UXデザイナーのアリです!
ライトモードとダークモード。
UIデザインに関わっている人なら、一度はこの議論をしたことがあるのではないでしょうか。
「どっちのほうが見やすい?」
「どっちのほうが読みやすい?」
「どっちのほうがデザインしやすい?」
「結局、どっちを使うのが正解?」
ライトにもダークにも、それぞれメリットがあります。だからこそ、この議論にはなかなか終わりがありません。
では、本当に「正解」はあるのでしょうか?
今回の記事では、ライトモードとダークモードがどのように生まれてきたのか、その歴史を少し振り返りながら、実際に100名以上を対象に行った独自調査の結果も交えて考えていきます。
先に少しだけ結論を言うと、
ライトモードとダークモードに、絶対的な正解・不正解はありません。
大切なのは、「誰が、何のために、どんな環境で使うのか」ということです。
でもその話をする前に。
そもそも、ライトモードとダークモードはどこから始まったのでしょうか?
こんな方におすすめ
- ライトモードとダークモード、どちらを採用するか悩んでいる方
- UI/UXデザインに興味がある方
- ユーザーの好みをデザインにどう反映するか知りたい方
- 「ダークモード=目に優しい」は本当?と思ったことがある方
- ユーザーリサーチをUIデザインに活用したい方
ライトモード vs ダークモード。終わらない戦い
ライトモードとダークモードについて調べ始めると、
「ライトのほうが読みやすい」
「ライトのほうが情報を理解しやすい」
「ダークのほうが目が疲れにくい」
「ダークのほうがかっこいい」
など、本当にさまざまな意見が出てきます。
でも、よく考えてみると少し不思議です。なぜ私たちは、そもそも「ライト」と「ダーク」の2つを使い分けるようになったのでしょうか?

実は、最初は「暗かった」
少し昔に戻ってみましょう。
1960〜70年代、コンピューターのディスプレイ端末が普及し始めた頃。当時の画面は、現代の感覚で見るとダークモードに近い見た目をしていました。
黒い画面。そこに浮かび上がる、緑・白・アンバー色の文字。いわゆる「ターミナル」です。
私たちも一度は見たことがあるのではないでしょうか。真っ黒な画面の中で、とカーソルが点滅しながら、「さあ、何か入力してくれ」と言わんばかりに待っている、あの画面です。
当時のCRT(ブラウン管)ディスプレイは、電子ビームを画面内部の蛍光体に当て、その部分を発光させて表示する仕組みでした。メインフレーム時代の多くの端末では、単色の固定幅文字を表示するのが一般的でした。
もちろん、当時の人たちがこれを「ダークモード」と呼んでいたわけではありません。
それが、ただの画面だったのです。

コンピューターが「紙」になった
そして1970年代になると、コンピューターの画面は、少しずつ「文字を入力するための機械」から、私たちの日常にあるものを再現する存在へと変化していきます。
象徴的なのが、1973年に登場したXerox PARCの「Alto1」です。
Altoでは、ウィンドウ、アイコン、マウスなどを使ったGUIが採用され、さらに「Bravo」というWYSIWYG形式のワープロも利用されていました。WYSIWYG形式とは「What You See Is What You Get」の頭文字をとった言葉で、つまり「画面で見えているものが、そのまま印刷される」という考え方です。
コンピューターが、「機械」から「デジタル上の紙」へ、と変わり始めた瞬間でした。

「ライトモード」という名前すらなかった時代
この考え方をさらに発展させたのがAppleです。
Apple Lisa2の開発に携わったBill Atkinsonは、Lisaにおける重要なUI上の判断のひとつとして、「白い背景に黒い文字を表示する」ことを挙げています。
そして1984年にはMacintosh3が登場。Lisaよりも低い価格帯でGUIをより広いユーザー層へ届ける大きなきっかけとなりました。
そこから徐々に、Webサイトは白いページ、メールは白い文書、OSのウィンドウも明るい背景、という形が当たり前になっていきます。
でも、ここで面白いことがあります。
当時は誰もそれを、「ライトモード」とは呼んでいませんでした。
ライトでもない。ダークでもない。ただのインターフェイス。いつもの画面。
ライトUIがあまりにも当たり前だったからこそ、「ライト」という名前すら必要なかったのです。

ダークUIは消えていなかった
では、暗いUIはどこへ行ったのでしょうか?
実は、なくなってはいません。
写真編集、動画編集、開発ツールといった専門的なソフトウェアでは、暗いインターフェースが長く使われ続けました。
なぜでしょうか?
ひとつの理由は、UIそのものではなく、「コンテンツ」を主役にしやすいこと。
暗い背景やニュートラルなグレーを使うことで、周囲のUIが一歩後ろへ下がり、写真・映像・色・キャンバスを前面に出しやすくなります。
Adobeも、現在のクリエイティブツールにおけるDark UIについて、キャンバスや画像、色などを前面に出しやすいことをメリットのひとつとして説明しています。
つまり、Dark UIは消えたのではありません。
専門化したのです。

そして、画面を持ち歩くようになった
その後、デスクトップPCはノートPCへ。そしてスマートフォンへ。
ここでUIにとって非常に大きな変化が起きます。
使う場所が決まらなくなったのです。
朝の電車。昼間の屋外。
直射日光の下。夜の帰り道。
暗い部屋。そして寝る直前のベッドの中。
同じUIなのに、ユーザーが画面を見る環境はまったく違います。

かつて比較的予測しやすかった利用環境が、一気に予測しづらくなりました。
そしてここから、ダークUIは単なる、「黒いほうがかっこいい」というデザイン上の選択だけではなく、ユーザーの利用環境に合わせるためのUX上の選択肢として意味を持ち始めます。
ダークモードの逆襲
そして2010年代後半。
再び「暗い画面」が、一般ユーザーの前へ戻ってきます。
2018年、AppleはmacOS MojaveでシステムワイドのDark Modeを導入しました。
AppleはDark Modeについて、コントロールを背景になじませることでコンテンツにフォーカスしやすくなることや、暗い環境での利用にも適していることを説明しています。
そして2019年には、iOS 13にもシステムワイドのDark Modeが登場。
日の入りや指定した時間に合わせて、自動でDark Modeへ切り替えることもできるようになりました。
同じくAndroid 10でも、システムワイドのDark Themeが導入されました。Googleは低照度環境での利用に加え、ディスプレイ技術によっては消費電力を削減できることなどもメリットとして挙げています。

「デザイナーが決めるUI」から「ユーザーが選ぶUI」へ
ここで、とても大きな変化が起きます。
それまで多くの場合、デザイナーが画面を決め、ユーザーがそれを使う、という関係でした。
しかし、
☀️ ライト
🌙 ダーク
◐ システム / オート
という選択肢が登場したことで、ユーザー自身が、自分に適した表示を選べるようになりました。
デザイナーが選ぶUIから、
ユーザーも選べるUIへ。
では、この両方を用意できない場合は、どうすればいいのでしょうか?
ライトか、ダークか。
どちらを選ぶべきでしょうか?
答えは、意外とシンプルかもしれません。
迷ったら、ユーザーに聞けばいい。
では、実際にユーザーに聞いてみた
「ライトとダーク、どっちが好きですか?」これだけなら簡単です。でも、今回私たちが知りたかったのは、その一歩先。
「なぜ、そのモードを選ぶのか?」です。
そこで今回、ライトモード・ダークモードについて、100名以上を対象に独自調査を行いました。
性別、年代、普段使っているモード。さらに読みやすさ、目の疲れにくさ、デザイン、バッテリー、利用環境など、単純な「好き・嫌い」だけではなく、その背景にある理由についても確認しました。

100名以上の調査から見えてきたこと

まず、ライト派?ダーク派?
まず年代・性別で結果を分けてみると、興味深い傾向が見えてきました。
今回の調査では、20代〜30代前半の男性では、ダークモードを好む傾向が比較的強く見られました。
一方で、女性では年代を問わず、ライトモードを好む傾向が見られました。
もちろん、これは「男性ならDark」「女性ならLight」という意味ではありません。
今回の100名以上というサンプルの中で見られたひとつの傾向です。
重要なのは、その先でした。


「どっち?」よりも「なぜ?」を見る
調査をしていて、個人的に一番面白かったのはここです。
単純に、「どちらを選んだか」だけではありません。
「なぜ、それを選んだのか」です。
今回の回答では、ダークモードを選ぶ男性ユーザーからは、
「デザインが好き」
「見た目がかっこいい」
「バッテリー消費を意識している」
といった理由が比較的見られました。
一方、ライトモードを好む女性ユーザーでは、
「読みやすさ」
が重要な理由として表れていました。
特にここで大切なのは、同じ「Light」「Dark」という選択でも、ユーザーが求めている価値は同じではないということです。


でも、アプリが変われば答えも変わる
ここで注意したいことがあります。
今回の結果だけを見て、「若い男性向けならダークにしよう」と決めてしまうのは危険です。
なぜなら、何を作っているかによって、必要とされるUIは変わるからです。
ヘルスケアアプリ。
プロジェクト管理ツール。
ゲーム。
決済アプリ。
動画アプリ。
ニュースアプリ。
同じユーザーでも、アプリの目的が違えば求めるものも変わります。
情報を大量に読むのか。画像を見るのか。
短時間だけ使うのか。何時間も使い続けるのか。
昼に使うのか。夜に使うのか。

自分自身の好みだって変わる
ここで、少し個人的な話を。
私はゲームが好きで、これまで人生のほとんどをゲームと一緒に過ごしてきました。ゲーム歴でいえば、もう28年目です。
長時間画面を見ることも多かったので、昔からダークモードを好んで使ってきました。個人的には暗い画面のほうが長時間使いやすく感じますし、何よりゲームやクリエイティブツールとの相性もよく感じていました。
ところが最近、少し変化がありました。
ライトモードのほうが好きになってきたのです。
自分でも少し意外でした。
でも理由を考えてみると、仕事中や昼間、外出中の明るい場所といった環境で画面を見る時間が増え、ライトモードのほうが文字や情報を見やすいと感じる場面が増えてきたのだと思います。
つまり、同じ人間でも、環境や生活が変われば好みは変わる。

これは、今回のテーマを考えるうえでとても重要なポイントだと思います。
ユーザーの好みは固定されたものではありません。年齢や生活、仕事内容、使うデバイス、場所や時間などが変われば、最適なUIも変わる可能性があります。
結局、どちらが正解なのか?
ここまで見てきましたが、結局、ライトモードとダークモードは、どちらが正解なのでしょうか?

答えは、
「どちらか一方が正解」ではありません。
今回の調査でも、ユーザーによって好みや理由には違いがありました。そしてその違いは、性別や年代だけでは説明できません。
何を見るのか。
どこで見るのか。
どれくらい見るのか。
そして、なぜそのモードを選ぶのか。
そこまで知って初めて、デザイナーとして判断するための材料が揃います。
「Dark Modeのほうが今っぽいから」
「Light Modeのほうが一般的だから」
という理由だけで決めるのではなく、迷ったら、ユーザーに聞いてみる。
その人たちは何を求めているのか。
どんな環境で使うのか。
何を見るためのプロダクトなのか。
そして、なぜその表示を好むのか。
ライトモードとダークモードに、絶対的な正解・不正解はありません。
あるのは、「ユーザーのニーズに合っているかどうか」ということ。
UIを作ることそのものが目的なのではなく、その先にある、より良いユーザー体験を作ること。
ライトかダークか。その答えを探すのではなく、「なぜ、そのユーザーはそれを選ぶのか」を探す。
それこそが、UI/UXデザインにおける本当の答えなのかもしれません。
ライトかダークか?
回答はモードではなく、ユーザーです。
ユーザーの声を大切にし、その先にある「こうしたい」「こんな体験がほしい」という想いまでしっかりと汲み取り、UIとして形にしていくことを大切にしています。
ユーザーにも、そして私たちのお客様にも喜んでいただける体験をつくること。
その積み重ねによって、これまでになかった新しい未来や、少しだけ便利で心地よい毎日をつくっていくこと。
それが、私たちbravesoftがデザインを通して目指していることです。