モバイルアプリ開発を検討する際、「どのくらいの費用がかかるのか」「内訳はどうなっているのか」という点は最も気になるポイントです。本記事では、アプリ開発費用の見積もり方法や相場、見落としがちなリリース後の維持費まで詳しく解説します。
アプリ開発費用を算出する3つの基本要素
アプリ開発費用は、主に「人件費」「開発期間」「諸経費」の3つの要素で決まります。これらはアプリの規模や複雑さ、開発手法によって大きく変動するため、内訳を正しく理解することが正確な予算管理への第一歩です。
1.開発にかかる人件費(人月単価)
開発費用の大部分(約8割)を占めるのが、エンジニアやデザイナー、プロジェクトマネージャー(PM)などの人件費です。これらは「人月単価(1人が1ヶ月動く際の費用)」をベースに算出されます。
人月単価は、担当者のスキルや経験によって以下のように変動します。
初級
プログラミングの実装をメインに担当
単価目安(月額):80万 〜 150万円程度
中級
設計や詳細な仕様策定が可能
単価目安(月額):120万 〜 240万円
上級・PM
要件定義やプロジェクト全体の統括
単価目安(月額):200万円以上
特に「要件定義」や「設計」といった上流工程は、プロジェクトの成否を分ける重要なフェーズであるため、経験豊富な人材がアサインされ、単価も高くなる傾向があります。
2.実装機能と開発手法による「期間」の変動
開発期間は、実装する機能の数や複雑さに比例します。また、採用する開発手法によっても工数が大きく変わります。
開発手法による違い
・ネイティブアプリ:iOS/Android個別の開発が必要なため、高品質ですが期間は長くなります。
・Webアプリ:ブラウザで動作するため、比較的短期間での開発が可能です。
・ハイブリッドアプリ:1つのコードで両OSに対応でき、工数とコストを抑えられます。
機能による違い
シンプルなアプリであれば最短1ヶ月程度ですが、チャット、決済、SNS連携、大規模なオンラインゲームなどは実装難易度が高く、数ヶ月から1年以上の期間を要する場合もあります。
3.サーバー代やアカウント維持などの諸経費
人件費以外にも、アプリを公開・運用するために必要な「諸経費」が発生します。これらは開発時だけでなく、リリース後も継続的にかかるランニングコストです。
インフラ費用
サーバー代(月額約2万円〜)、ドメイン・SSL証明書費用(年間5〜10万円)
ストア登録料
Apple (iOS):年間12,800円(毎年更新)
Google (Android):初回のみ約3,000円
その他
セキュリティ対策費用(月額2〜10万円)、ライセンス利用料など
【開発方法別】モバイルアプリ開発の費用相場
アプリ開発の費用は、「どの手法で開発するか」によって数倍から十数倍の差が生まれます。ここでは主要な3つの開発手法について、現在の相場と特徴を解説します。
フルスクラッチ
独自のビジネスモデル、大規模システム
費用相場:300万円〜数億円
開発期間:6ヶ月〜1年以上
パッケージ・クラウド
標準的な機能(EC、店舗、CRM)重視
費用相場:100万円〜500万円程度
開発期間:2〜4ヶ月
ノーコード・ローコード
MVP開発、シンプルな業務効率化
費用相場:数万円〜200万円程度
開発期間:数日〜2ヶ月
フルスクラッチ開発:オリジナリティを追求
既存のシステムを一切使わず、ゼロからオーダーメイドで構築する手法です。
特徴
独自の業務フローや複雑な機能、こだわりのデザインを制限なく実現できます。他社との差別化が重要なサービスに最適です。
費用の傾向
最も高額です。小規模でも300万円〜、多機能なSNSや基幹システム連携を伴う場合は数千万〜数億円に及ぶこともあります。
注意点
全工程で高い専門スキルが必要なため、信頼できるパートナー選びが成功の鍵です。要件が曖昧だと手戻りによるコスト増のリスクがあります。
パッケージ・クラウド開発:コストと機能のバランス
既存の土台(パッケージ)を活用し、必要な部分だけをカスタマイズする手法です。
特徴
決済、クーポン、プッシュ通知などの「よくある機能」がテンプレート化されており、効率的に構築できます。
費用の傾向
100万円〜500万円程度が目安です。bravesoftの「Applica」のように、既存のWebサイトを素早くアプリ化するサービスもこの分類に含まれ、大幅に初期費用を抑えられます。
注意点
独自のこだわりが強すぎると「パッケージの制約」により実装できない場合があるため、事前の機能確認が重要です。
ノーコード・ローコード開発:低コスト・短納期
ソースコードをほとんど書かずに、視覚的な操作でアプリを組み立てる手法です。
特徴
圧倒的なスピードと安さが最大のメリットです。新事業のテスト版(MVP)や、社内向けのシンプルな予約・管理ツールに向いています。
費用の傾向
数万円〜200万円程度。開発工数が極めて少ないため、人件費を劇的に削減できます。
注意点
プラットフォーム側の仕様に依存するため、大規模なデータ処理や高度なセキュリティ要件、独自の複雑なロジックには向きません。
【アプリの種類別】機能ごとの開発費用目安
アプリの種類によって、求められる技術の高さやデータの処理量が異なるため、費用相場も大きく変わります。代表的な4つのジャンルについて、主要機能と費用の目安をまとめました。
ECサイト・通販アプリ
相場
300万円 〜 1,000万円以上 商品販売を目的とするため、信頼性の高いシステム構築が求められます。
必須機能
商品検索・管理、カート機能、顧客管理、プッシュ通知
費用を左右する要素
・決済手段:クレジットカード、コンビニ、後払いなど選択肢を増やすほど工数が増加。
・マーケティング機能:レコメンド(おすすめ表示)やレビュー機能、クーポン発行。
戦略のヒント
最初は決済手段を絞るなど、最小限の機能でリリース(MVP開発)し、売上に応じて拡張するのが効率的です。
SNS・マッチングアプリ
相場
500万円 〜 2,000万円以上 ユーザー間のリアルタイムな交流が発生するため、サーバー負荷やセキュリティへの考慮が不可欠です。
必須機能
プロフィール作成、検索・マッチング、チャット、画像投稿
費用を左右する要素
・リアルタイム性:チャットの即時性や位置情報の活用、AIによるレコメンド。
・安全性:不適切投稿の監視機能、通報・ブロック機能。
戦略のヒント
ユーザー体験(UI/UX)の質が継続率に直結するため、デザインや操作性の設計に投資を集中させる傾向があります。
店舗・集客アプリ
相場
100万円 〜 500万円程度 既存の顧客を囲い込み、リピート率を高めるための機能が中心となります。
必須機能
デジタル会員証、ポイント・スタンプ、クーポン配信、店舗検索
費用を左右する要素
・外部連携:既存のPOSレジやCRM(顧客管理システム)とのデータ連携。
・高度な販促:特定エリアへのプッシュ通知(ジオフェンシング)など。
戦略のヒント
ゼロから作るより、bravesoftの「Applica」のようなパッケージを活用することで、コストを抑えつつ高品質なアプリを早期に導入可能です。
業務効率化ツール
相場
300万円 〜 1,000万円以上 特定の業務プロセスをデジタル化し、生産性を高めるための「BtoB・社内用」アプリです。
必須機能
ログイン管理(権限設定)、タスク・スケジュール管理、報告書作成
費用を左右する要素
・システム連携:社内の基幹システムやデータベースとのリアルタイム連携。
・セキュリティ:強固な認証システムやオフライン環境での動作対応。
戦略のヒント
現場の使い勝手が悪いと普及しないため、従業員のITリテラシーに合わせた直感的なUI設計が重要です。
開発費だけじゃない!アプリ公開後に発生する維持・運用コスト
アプリは「作って終わり」ではありません。リリース後も安定稼働させ、最新のスマホ環境に対応させるための継続的な費用が発生します。一般的に、年間の維持費は開発費の15%〜20%程度が目安と言われています。
サーバー・ドメインの保守費用
アプリのデータを保存し、通信を行うためのインフラ費用です。
内容
サーバー利用料(クラウド環境など)、ドメイン維持費、SSL証明書(通信の暗号化)。
費用感
月額数千円 〜 数十万円。
変動要素
アクセス数やデータ量が増えるほど高くなります。また、死活監視やバックアップ、セキュリティ対策をエンジニアに依頼する場合、その人件費が保守費用として加算されます。
OSアップデートへの対応費用(iOS・Android)
スマホOS(iOS/Android)は年に一度のメジャーアップデートに加え、頻繁なマイナーアップデートが行われます。
内容
新OSでの動作確認、表示崩れの修正、新ルール(プライバシーポリシー等)への適合。
費用感
数万円 〜 数十万円(大規模改修時は100万円以上)。
変動要素
対応を怠ると、最新機種でアプリが動かなくなったり、ストアから削除されたりするリスクがあります。
不具合修正・機能改善費用
リリース後に発覚したバグの修正や、ユーザーの声を反映した改善にかかる費用です。
内容
予期せぬ不具合(バグ)の改修、UI/UXのブラッシュアップ、新機能の追加。
費用感
修正の規模や難易度に依存。
ポイント
軽微なバグ修正は月額保守契約に含まれることが多いですが、大規模な機能追加は「追加開発」として別途見積もりになるのが一般的です。
アプリストアの登録・更新手数料
アプリを各ストアに掲載し続けるための「場所代」です。
App Store (Apple)
初回費用:なし
更新費用:年間 約1.5万円前後
Google Play (Google)
初回費用:約4千円前後
更新費用:なし(初回のみ)
注意点
有料アプリやアプリ内課金が発生する場合、売上の15%〜30%が決済手数料として徴収される点も予算計画に入れておく必要があります。
モバイルアプリの開発費用を抑える5つの方法
アプリ開発は大きな投資ですが、アプローチ次第でコストを大幅に最適化できます。無駄な支出を抑え、効率的にプロジェクトを進めるための具体的な手法を紹介します。
1.機能を最小限に絞る(MVP開発)
最初から全ての機能を盛り込むのではなく、アプリの核となる重要な機能に絞ってリリースする「スモールスタート」が最も効果的です。
メリット
開発期間の短縮により、初期費用を30%〜50%削減できる場合があります。
ポイント
リリース後にユーザーの反応を見てから追加開発を行うことで、不要な機能への投資(=無駄)を防げます。
2.補助金・助成金を活用する
国や自治体の支援制度を利用することで、開発費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
主な制度
・IT導入補助金:業務効率化を目的とした導入に30万〜450万円程度。
・ものづくり補助金:革新的な新製品・サービス開発に750万〜3,000万円程度。
注意点
採択率は40〜50%程度であり、事前の緻密な事業計画と、採択後の厳格な報告義務が必要です。
3.相見積もりで費用と質を比較する
1社だけに絞らず、3〜4社の実績豊富な開発会社から見積もりを取りましょう。
メリット
費用内訳(人月単価や工程)を比較することで、相場感が掴め、価格交渉の根拠にもなります。
注意点
単に「一番安い会社」を選ぶのは危険です。見積もりに必要な機能が全て含まれているか、追加費用の発生条件は明確かなど「質」を吟味してください。
4.フリーランス(個人事業主)への依頼
企業に依頼するよりも、固定費の少ないフリーランスの方が人月単価を低く抑えられる傾向があります。
メリット
小規模な開発や、特定の工程(デザインのみ、実装のみ等)を切り出して依頼する場合にコストメリットが出やすいです。
注意点
開発者が1人のため、急な病気等での納期遅延リスクがあります。依頼側にも一定のディレクション能力(プロジェクト管理能力)が求められます。
5.レベニューシェアでの契約交渉
初期費用を抑える代わりに、リリース後の売上を開発会社と分け合う契約形態です。
メリット
開発会社が費用の一部を負担するため、初期投資を劇的に抑え、失敗時の赤字リスクも分散できます。
注意点
開発会社側にもリスクがあるため、「確実に利益が出る」という説得力のある事業計画が不可欠です。成功した場合は、長期的に支払う合計額が初期費用より高くなることもあります。
注意!費用だけで開発会社を選ぶと思わぬ落とし穴が
アプリ開発の目的は「安く作ること」ではなく「ビジネスで成果を出すこと」です。低価格を最優先にすると、リリース後に以下のようなリスクに直面する可能性があります。
「安物買いの銭失い」になる追加コスト
見積もり段階で安価でも、必要な機能が含まれていない場合があります。
リスク
リリース後に「やっぱりこの機能も必要」となった際、後付けの改修はゼロから作るより高額になるケースが多いです。
対策
将来的な拡張性を見越し、あらかじめ拡張にかかる費用感も確認しておきましょう。
セキュリティ対策の不備による信用失墜
コスト削減のためにセキュリティ工程を簡略化すると、重大なトラブルを招きます。
リスク
個人情報や決済情報の漏えいは、企業の社会的信用を即座に失墜させ、多額の賠償問題に発展します。
対策
開発会社のセキュリティ基準(ISMS取得の有無や過去の実績)を確認し、安全への投資を惜しまないことが重要です。
リリース後の「放置」によるアプリの陳腐化
アプリは公開してからが本番ですが、安価なプランには「保守・運用」が含まれていないことがあります。
リスク
OSアップデートへの対応が遅れてアプリが動かなくなったり、不具合が放置されたりすることで、ユーザーが離脱してしまいます。
対策
開発だけでなく、改善提案やトラブル対応まで並走してくれる「パートナー」としての体制があるかを見極めてください。
まとめ
アプリ開発費用は、開発手法や種類によって数百万円から数千万円と幅広く変動します。初期費用だけでなく、OSアップデート対応やサーバー維持などの「継続的なコスト」を含めたトータルバランスで判断することが成功への近道です。
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