こんにちは!中国人エンジニアの唐です。
今回は中国人エンジニアの観点から、中国のキャッシュレス決済事情について紹介致します!
キャッシュレス決済とは、クレジットカードや電子マネー、口座振替を利用して、紙幣・硬貨といった現金を使わずに支払い・受け取りを行う決済方法のことです。
近年、中国はキャッシュレス決済の普及率の高さで世界的に注目されていますが、特にアリババの「アリペイ(支付宝)」とテンセントの「ウィーチャットペイ(微信支付)」と銀聯の「UnionPay」が高いシェアを誇っています。
決済の歴史
まず今までの経緯を振り返ってみるとこのような感じになります。
1985 キャッシュカード、クレジットカード運用開始
1999 オンラインモール運用開始
2002 銀聯※1創立
2003 淘宝※2創立、同年アリペイ運用開始
2010 QRコード決済運用開始
2013 スマホ決済運用開始
時系列でみると2003〜数年と、2013年〜数年にかけて凄まじい変化がありました。
PC、スマホそれぞれの普及により、一般市民のライフスタイルに劇的な変化が起こったのです。
特に2003年にはPCが急速に普及し、キャッシュレス決済の認知度が高まりました。
当時、PC上でのネットショッピングが非常に流行り出していて、キャッシュレス決済は主にネットショッピングに使われていました。
2003年はネットショッピングメインで使用されていたキャッシュレス決済が真の意味で生活の一部となったのは、スマホでの決済が普及しはじめてからです。
2013年からスマホの普及率が急激に増加し、色々なスマホ決済アプリもでてきました。
ウィーチャットペイ(微信支付)がキャッシュレス決済事業参入したのもこの時期です。
QRコードベースのスマホ決済は導入コストが低く、数秒で決済完了できるので、飲食店や小売店、コンビニなど生活でよく使用するお店であっという間に広がり、人々の日常生活の一部となっていきました。
2020年、現在の中国では「スマホを持っていればお財布がなくても困ることはない!」とも言えるほど普及しています。
朝ごはん、公共料金から家電、車までキャッシュレス決済で対応でき、更には「現金NG、キャッシュレス決済のみ」という店も出るほどキャッシュレス決済がスタンダードになってきています。
なぜ中国でキャッシュレス決済が流行したのか
理由としては以下の点が考えられます。
・セキュリティー性が高い
お金を直接扱うシステムなので安全面が最重要視されますが、アリペイとウィーチャットペイはサービス開始以来、口座情報漏えいなどのセキュリティー事故は一度もありません。信頼性が非常に高いと言われています。
・導入ハードルが低い
特にスマホでのキャッシュレス決済はQRコードのみで決済可能ですし取引1件あたりの手数料も低いため、他のキャッシュレス決済(キャッシュカード、クレジットカードなど)よりコストが抑えられ、店サイドとしても導入しやすいサービスと言えます。
・偽札問題
中国ではほとんどの店に偽札をチェックする機械が存在するほど偽札問題が深刻でしたが、
キャッシュレス決済の普及によって偽札問題が随分収まりました。
日本の「現金主義がセキュリティが高い」という観点とは真逆なのが面白いですね。
・高額紙幣がない
中国国民の平均的な収入が5,6000元に対し、一番高額な紙幣は100元です。全然高額な紙幣じゃありませんね。
つまり現金でちょっとした買い物をしようとしても、何十枚の紙幣を用意しないといけないのです。
キャッシュレス決済によってこの煩わしさがとても解消されました。
今後のキャッシュレスの展開
「生体認証」によって決済のさらなる短縮化が実現されるのではないかと考えています。
QRコード決済はスマホへの依存度が高く、スマホの故障や紛失によるリスクを含んでいます。
今後はスマホを経由しなくても決済ができる方向に進んでいくのではないかと思っています。
https://mini.eastday.com/mobile/181215150048161.html#
上の参考URLは、18年年末から中国一部のスーパーで運用し始めた「顔で支払う決済システム」について書かれている記事です。
スマホを持っていなくても顔を確認するだけでアリペイの口座から支払うことができます。
導入したスーパーからも、レジ業務効率の上昇により人員コストが削減できるとの好意的なフィードバックがありました。
導入コスト、セキュリティーなどを含めて、解決しないといけない問題はまだまだありますが、キャッシュレス決済の未来を物語る取り組みだと思いますので今後の動向にも注目しています。
※1 クレジットカード、キャッシュカードの電子決済を扱う中国の国有企業
※2 アリババ傘下のオンラインモール
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